内蔵HDD(ハードディスク)の選び方と交換方法
PCに内蔵されているHDD(ハードディスク)は、新しいものに交換することができるほか、別のHDDを増設することもできます(増設は対応製品のみ)。HDDが故障したり、容量が足りなくなったりしたとき、PCを買い替えるのもひとつの方法ですが、HDDの交換や増設によって、はるかに低いコストで解決することも可能です。今回はHDDの交換や増設の方法、そしてそのためのHDDの選び方を紹介します。
目次
HDDを交換・増設するメリットとは
内蔵HDDを新しいものに交換する第一のメリットは故障防止です。HDDには通常、継続使用によって劣化が発生します。使用時間・頻度にもよりますが、5年程度を交換の目安と考えるのが一般的。HDDが寿命を迎える前に新しいHDDに交換することで、PCが起動しなくなる・データを失うといったトラブルを未然に防ぐことができるのです。
また、新しいHDDへの交換は、容量の増大や読み書き速度の向上を実現できるというメリットももたらします。PCの動作はHDDの読み書き速度に大きく左右されるため、高速なHDDに交換することで、PC全体の動作スピードの改善が期待できます。
内蔵HDDを増設することのメリットは、もちろん使用できるHDDの容量が増えること。「内蔵HDDが容量不足に陥らないように、定期的に不要ファイルを探して削除する」といった面倒な作業から解放されます。ただし、増設をするためにはPC内に専用スペースが必要です。ノートPCや省スペースデスクトップPCのように、専用スペースがないPCには増設をすることができません。この場合は、外付けHDDを使用して保存容量を増やすのが通常です。
HDDの規格、サイズ、容量、回転数を決める
PCに内蔵するHDDには「IDE」と「SATA」の2種類の接続規格があります。交換・増設を予定しているPCがどちらの規格を採用しているかを確認し、交換・増設用のHDDを選択してください。自分のPCのメーカーWebサイトや取扱説明書をチェックしましょう。なお、直近十数年以内に発売されたPCであれば、ほとんどがSATA対応となっているはずです。
接続規格以外で確認すべきおもなポイントは、「サイズ」「容量」「回転数」。サイズが合わないとPCに内蔵できなかったり、古いPCでは大容量のHDDを正しく認識できなかったりといった問題もあるので注意が必要です。
サイズは3.5/2.5インチの2種類
内蔵HDDのサイズは、「3.5インチ」と「2.5インチ」の2種類に分けられ、おおむね、3.5インチはデスクトップPC用、2.5インチはノートPCや省スペースデスクトップPC用となっています。2.5インチ用のスペースには、3.5インチHDDを設置できません。逆に3.5インチ用スペースには、「マウンタ」という器具を使うことで2.5インチHDDを設置できるようになります。
容量は小さすぎず、大きすぎずがいい
内蔵HDDには、500GBといった小容量のものから10TBを超えるような大容量のものまで、様々な製品があります。ただし、容量と価格は必ずしも比例せず、現時点でもっとも普及している容量の製品がもっとも割安になるという傾向にあります。必要な容量は人によって異なりますが、容量と価格のバランスがとれていて人気なのは、3.5インチなら1〜4TB、2.5インチなら500GB〜1TBあたりです。
回転数は7,200rpmと5,400rpmのどちらか
使用中のHDDの内部では、金属製の記録媒体が高速回転しています。その回転速度を表すのが「回転数」で、1分間当たりの回転数を「rpm」という単位で表現します。高速に回転するほどデータの読み書きが速くなる一方で、動作音や発熱が大きくなるというデメリットも。そのため、デスクトップPCでは7,200rpm、ノートPCでは5,400rpmの製品が多く使われています。
デスクトップPCの内蔵HDDを交換・増設する場合でも、画像・動画の編集など、頻繁にデータの読み書きが発生するような用途に使用しないのであれば、5,400rpmの製品を選んでもいいでしょう。
内蔵HDDの交換と増設の方法
ここからは内蔵HDDの交換・増設方法を紹介します。ただし、内蔵HDDの交換・増設作業にはデータの消失やPCの故障といったリスクがともないます。作業には細心の注意を払い、自己責任で行ってください。
また、内蔵HDDの交換には、事前のシステムやデータをバックアップ、交換後のリストア作業も必要です。交換・増設の方法や必要な器具(ドライバーなど)もPCの機種ごとに異なるので、あらかじめ自分のPCのメーカーWebサイトや取扱説明書をチェックしましょう。
内蔵HDDの交換方法
デスクトップPCの場合、まずはPC本体のケースを開けて、すでに取り付けられている内蔵HDDを確認します。次に、接続されている信号ケーブルと電源ケーブルを外し、固定用のネジも外して内蔵HDDを取り出します。空いたスペースに新しい内蔵HDDを収納し、ネジで固定。信号ケーブルと電源ケーブルを接続して、本体のケースを閉じれば交換完了です。
ノートPCの場合は、まず、HDDが収納されている部分のフタを外します。位置は機種によって異なりますが、多くの場合は底面やキーボード下にあるはずです。内蔵HDDが見えたら取り外し、逆の手順で新しいHDDを装着。フタを閉じれば完了です。
内蔵HDDの増設方法
すでに内蔵されているHDDはそのままに、別のHDDを増設するには、PC本体にHDD増設用の専用スペース(ドライブベイ)が必要です。まずは、ドライブベイが空いているかを確認してください。
PC本体のケースを開け、ドライブベイの位置を確認したら、増設用のHDDをネジで固定します。HDDには「SATAポート」と「SATA電源ポート」というふたつの端子があるので、まずはHDDのSATAポートとマザーボードのSATAポートを、「SATAケーブル」で接続します。次にケース内の電源ボックスから出ている「SATA電源ケーブル」を、HDDのSATA電源ポートに接続しましょう。空いているSATA電源ケーブルがない場合には、SATA電源ケーブルを分岐させるケーブルを別途用意して使用します。ケースを閉めれば作業は完了です。
交換・増設が終了したらHDDのフォーマットが必要
新品の内蔵HDDは、取り付けただけでは認識されなかったり、読み書きできなかったりすることがあります。その場合に必要なのが「フォーマット(初期化)」という作業です。WindowsやMacの機能で、HDDをフォーマットしましょう。なお、すでにデータが書き込まれているHDDをフォーマットすると、内容が全消去されてしまうので注意が必要です。すでにフォーマットを済ませた状態で販売されている製品もあります。