データ保存はなぜ重要?記録メディアごとの特徴を知って保存先を考えよう

パソコンやスマホを使用している際に避けなければいけないのは、「保存したデータが消失してしまうこと」です。保存したデータそのものが時間経過で劣化することはありませんが、データを保存している記録メディアが劣化・破損すれば使えなくなる恐れもあります。この記事では、パソコンやスマホにおけるデータ保存の重要性と、各記録メディアの特徴を比較しながらご紹介します。
目次
データ保存の重要性
パソコンやスマホなどに保存されたデータは、端末の故障やデータの誤消去などが理由で消えてしまうことがあります。機器の内部ストレージにデータを保存しているだけでは、端末が使えなくなったときにデータを読み出せません。
データが完全に読み出せなくなるのを防ぐためにも、同じデータを複数の個所に保存(バックアップ)しておくことが大切です。
データを保存するメディアはどれが良い?
パソコンやスマホの内蔵ストレージ以外にデータを保存するためには、「記録メディア」を活用することがおすすめです。記録メディアには多くの種類があるので、それぞれの特徴を知ったうえで選ぶ必要があります。ここでは、記録メディアごとの特徴についてご紹介します。
LTO
磁気テープにデータを記録するメディアがLTO(リニアテープオープン)です。認知度はあまり高くないかもしれませんが、磁気テープは30年を超える期待寿命を持つ信頼性の高いメディアです。
磁気テープはデータの読み書き時に通電する必要がなく、動作時の消費電力を抑えることもできる省エネルギーな記録メディアでもあります。また、ご自身が構築している機器や接続環境に応じて柔軟な使い分けも可能です。
HDD
HDD(ハードディスクドライブ)は、金属製の磁気ディスクに磁気ヘッドでデータを記録していくメディアで、パソコンの内蔵ストレージやサーバーのデータ保存用途で使用されることが多いです。
HDDのメリットは容量あたりの単価が安い点や、手軽に大容量のデータを保存できる点などが挙げられます。また、大量のデータをネットワーク接続で読み書きできる、LAN接続型の「NAS」と呼ばれるHDDもあります。同じネットワークに接続されたすべての端末でデータを取り扱えるため便利です。
一般的にHDDは低コストで便利ですが、振動や衝撃などに弱いというデメリットがあります。そのため、持ち運びを前提とした用途にはあまり向いていません。
SSD
SSD(ソリッドステートドライブ)は、半導体メモリの中にデータを保存するメディアです。HDDと異なり物理的に駆動させる部品がないため、落下や衝撃に強く、外付けのポータブルSSDなどは持ち運びにも向いています。
データの読み書きも高速であるなどメリットは多いですが、HDDよりも容量あたりのコストは高いです。また、長期間データを保存したまま放置しておくと、データが消えてしまう可能性もあります。SSDにデータを保存する際には、定期的なバックアップが欠かせません。
メモリカード
Androidスマホやタブレット端末で使用することも多い、microSDカードやSDカードといったメモリカードも、データ保存先の候補の1つになります。小型で持ち運びに適している点がメモリカードの大きなメリットです。
しかし、メモリカードは小型なので、紛失したり静電気で破損したりする可能性が高いです。また、SSDと同じく長期間放置するとデータが消えてしまったり、メモリが劣化したりするなどのデメリットもあります。適宜バックアップを取るようにして、データの消失を防ぐ必要があるでしょう。
USBメモリ
フラッシュメモリを使用した小型の記録メディアで、パソコン内部のデータを移して持ち運んだり、パソコンの回復ドライブを作成したりする際によく使用されています。近年ではスマホと接続できる製品も多く、スマホ内のデータを一時バックアップする際にも便利です。
ただし、USBメモリはメモリカードと同様に、サイズが小さいので紛失などに注意する必要があり、またメモリの劣化によるデータ消失の可能性もあります。
光学ディスク
CDやDVD、Blu-rayディスクなどの光学ディスクにデータを保存する方法もあります。光学ディスクは音楽CDや映像DVDなどで馴染みがある人も多く、持ち運びもしやすい記録メディアの1つです。容量あたりの単価が非常に安く、一般的な使用を想定した場合には長期保存に向いているとも言われています。
ただし、紫外線などに弱いうえ、保存状態や製造品質によって寿命が大きく左右されます。また、音声や映像など容量の大きいデータの書き込みに時間がかかる点もデメリットです。
M-DISC
DVDやBlu-rayディスクの耐久性を高めた「M-DISC」と呼ばれる記録メディアもおすすめです。経年劣化に対する耐久性の高さが特徴で、光や熱、湿度などによって劣化しにくく、開発会社の試験によると数百年にわたりデータを保存できるとされています。
M-DISC内のデータの再生は既存の光学ドライブでも行えますが、データを書き込む際は専用のドライブが必要なので注意しましょう。
クラウドストレージ
ネットワーク上のサーバーにデータを保存できるサービスがクラウドストレージです。知名度の高いサービスには「Google ドライブ」や「iCloud」、「Dropbox」、「OneDrive」などがあります。どの端末からでも同じアカウントでログインすればデータへのアクセスが可能です。
ただし、インターネットに接続できる環境がなければ使えない点や、ファイルの転送に時間がかかるなどのデメリットもあります。また、無料プランで利用する場合は保存できる容量が小さいことも多く、大容量データの保存には向きません。