LTO8、LTO7、LTO6の違いとは?LTOを選ぶ際の注意点も併せて解説

「LTO Ultrium」は、大容量の磁気テープストレージメディアとして、映像業界などを中心に、さまざまな場で使われている規格です。とはいえ、日常的に読み書きするデータの保存に使用される機会は少なく、LTOとはどのようなものなのか詳しくない方も多いのではないでしょうか。この記事ではLTO Ultriumの基礎知識から、LTO6、7、8といった世代ごとの違いなどについてもご紹介します。
目次
LTO Ultriumとは
LTO(Linear Tape-Open)とは、コンピュータ用のデータ保存に使用する磁気テープ技術のひとつです。LTO Ultriumはその技術に基づいて策定されたフォーマットで、専用のドライブにカートリッジを差し込んで、データの書き込みや読み出しを行います。ちなみに、LTOにはUltrium以外にも「Accelis」という規格がありますが、単にLTOといった場合はLTO Ultriumを指すのが一般的です。
LTOは大容量データの保存が可能ながら低コストで信頼性が高いなどの特長を持ち、膨大な量のデータを長期保存する際に便利です。また、オフラインの状態でデータ保存が行えるため、サイバー攻撃などによるデータ破損や改ざんのリスクが少ない点もメリットといえます。
LTOの世代の違い
LTOは現在12世代までのロードマップが作成されていて、12世代では最大480TBの記録容量を提供する計画となっています。現状でリリースされているLTOの最新バージョンは「LTO8」です。(※2020年6月時点)ここでは全世代のなかから、LTO6、LTO7、LTO8の3世代について詳しくご紹介します。
LTO6
非圧縮容量2.5TB、圧縮容量6.25TBを誇るLTO規格の第6世代です。LTO6ドライブは、LTO6メディアはもちろん、LTO5メディアへの読み書きが可能で、2世代下(LTO4)のメディアとも読み込み互換があります。
LTO7
非圧縮容量6TB、圧縮容量15TBを誇るLTO第7世代です。LTO7ドライブにはLTO7メディアのほか、LTO6メディアとの読み書き互換があり、2世代下(LTO5)のメディアとも読み込み互換を有しています。
また、LTO8ドライブは、専用フォーマットを実行することで、LTO7メディアを非圧縮容量9TBのメディアとして使用できる機能を備えていて、このフォーマットを実行したメディアは「LTO7 TypeM」と呼ばれます。ただし、TypeMとして使用するためにフォーマットを行うと、LTO7ドライブでの使用はできなくなるため注意が必要です。
LTO8
LTO8は、LTO7の2倍となる最大30TB(非圧縮時12TB)の記録容量を実現した、現在の最新世代の規格です。また、最大750MB/s(非圧縮時300MB/s)の高速なデータ転送を行うこともできます。
LTO8データカートリッジを読み取る「LTO8ドライブ」は、1世代下(LTO7)のメディアのデータを読み書きすることが可能です。ただし、LTO8ドライブは他の世代と異なり、読み書きともに一世代前のLTO7メディアまでしか対応していない点には注意しましょう。
LTOを選ぶ際の注意点
LTOカートリッジやLTOドライブを購入する際には、いくつか注意したい点があります。ここでは、主に容量における選び方のポイントをご紹介します。
LTFSに対応している世代を選ぶ
LTFS(Linear Tape File System)とは、LTOメディア内のデータを、一般的なハードディスクやUSBメモリなどのように、ファイル単位で取り扱えるようにする機能のことです。これにより、保存したファイルへの直感的なアクセスや管理が可能となります。
LTFSに対応しているのはLTO5以降の世代なので、基本的にはLTO5、LTO6、LTO7、LTO8の4規格から選ぶと良いでしょう。ただし、LTO5ドライブはすでに販売を終了しているメーカーもあります。LTOを選ぶ際は、LTFSに対応しているかどうかをはじめ、必要な容量や転送速度、予算、互換性なども考慮するようにしましょう。
非圧縮容量に注意
LTOデータカートリッジには、「非圧縮容量」と「圧縮容量」がそれぞれ記載されています。たとえばLTO6の場合は、非圧縮容量が2.5TB、圧縮容量が6.25TBです。
これは、LTOドライブには圧縮可能なデータを自動で圧縮して書き込みを行う機能があるためです。しかし、映像や音声などのデータは、ほとんど圧縮することができないとされています。このようなデータのアーカイブを中心にLTOを活用する場合は、非圧縮容量を基準にして実際に保管できる容量を計算する必要があるでしょう。
インデックス領域に注意
LTO8は、LTO7の2倍となる最大30TB(非圧縮時12TB)の記録容量を実現した、現在の最新世代の規格です。また、最大750MB/s(非圧縮時300MB/s)の高速なデータ転送を行うこともできます。
LTOメディアでLTFSフォーマットを行うと、インデックス領域とコンテンツ領域に分割されることにも注意が必要です。実際にデータの保存を行うのはコンテンツ領域となるため、LTFSフォーマットを行うことで、保存できる容量は記載された容量より若干少なくなる可能性があります。そのため、LTOメディアはある程度余裕を持った容量のものを選ぶようにしましょう。