M-DISCとは?データの長期保存に便利なメディアについて知ろう

データを長期間安全に保存する際には、バックアップを取っておくことが重要です。データのバックアップにクラウドストレージを利用する機会が増えていると思いますが、光学ディスクやHDDなどの記録メディアにデータを保存する方も少なくないでしょう。しかし、HDDが故障したり間違えてデータを上書きしてしまったりするなど、保存していたデータが突然消えてしまう可能性はいつでもあります。
安全かつ長期間にわたりデータを保存しておきたいときは、M-DISCと呼ばれる記録メディアに対応した光学式ドライブを活用するのもおすすめです。この記事では、M-DISCの特徴やメリットについてご紹介します。
目次
M-DISCとは?
M-DISCとは、米国のMillenniata社が開発した新しい記録メディアで、わかりやすく説明するなら「耐久性を高めたブルーレイディスク(BD)やDVD」です。
記録メディアの耐久性は環境や使用状況にも左右されますが、HDDは3〜4年、DVDは5〜20年、USBメモリだと2〜10年程度が一般的な寿命の目安です。それに対しM-DISCは、100年以上にわたってデータを保存できるとされています。容量もDVD-Rは4.7GB、BD-Rは25GB、BD-R DLは50GB、DB-R XLの場合で100GBとなっているので、一般的なデータの保存が目的なら十分といえるでしょう。
10年単位などの長い間、安全に多くのデータを保存したい方には、M-DISCはおすすめのデータ保存メディアです。
※長期記録保持メディア「M-DISC」は、Millenniata社が開発したものです
※M-DISCは別売りです
M-DISCの特長
M-DISCの外観は普通のDVDやBDと同様の形状をしていますが、なぜ一般的なDVDやBDよりも耐久性に優れているのでしょうか。M-DISCの具体的な構造や特長についてご紹介します。
記録膜には金属系の素材を採用
M-DISCは、記録膜に特許を取得した金属系の独自素材を使用しているのが特長です。データの記録時には、この金属膜にレーザーで物理的に凹凸を生成することで書き込みを行います。
金属素材は劣化しづらく、色素にレーザーを当てて化学変化を起こすことでデータを記録する従来型の光学ディスクよりも、高い耐久性を実現しています。
光や熱による影響を受けづらい
強力な表面保護層を採用しているため、光や熱、湿度など環境変化による影響を受けづらいのも、M-DISCの特長のひとつです。
水の中や直射日光下などのような過酷な環境に放置し、データの読み出しを行うテストでも、従来の光学ディスクではエラーが起こったのに対し、M-DISCはデータの読み出しができるケースが多かったと報告されています。
データの改ざんができない
M-DISCは1回の記録しか行えない仕組みとなっているので、データの上書き保存は不可能です。データの改ざんや、誤って上書きしてしまうといった事態は基本的に起こる可能性がなく、消去できない大切なデータの保管には最適なメディアといえます。
M-DISCはこんな人におすすめ
M-DISCは、データを長期間安全に保管したい方に適した記録メディアです。データを長期間確実に残しておく必要がある企業の書類データや、システムデータなどの保存に向いています。
また一般のご家庭でも、家族写真やビデオなどのように、ずっと残しておきたいデータを記録しておく用途での使用におすすめです。光や熱に強く、保管環境がそこまで良くない場合でも通常の光学ディスクに比べて安心なので、保管環境に困っていた方もM-DISCを使用してみてはいかがでしょうか。
M-DISCを活用するには専用のドライブを用意しよう
M-DISCにデータを記録する際には、M-DISCに対応したドライブが必要になります。データの読み出しだけなら、2005年以降に発売されたほとんどのDVD+R/RW対応ドライブで行えますが、M-DISCを活用したい場合は書き込みに対応したドライブを用意しておくと便利です。
おわりに 大切なデータの長期保存にはM-DISC対応の光学式ドライブを活用しよう
データのバックアップを行う場合、DVDやBDなどの光学ディスクを使用することは多いです。しかし長期間データを保管できるとされている光学ディスクも、経年劣化や紫外線に弱いといった弱点があり、環境によって寿命は大きく左右されます。
その点、M-DISCは独自素材の記録膜や強力な表面保護層を採用し、長期間の保存に適した設計になっているメディアです。失いたくない大切なデータを長期間にわたって保存したい方は、M-DISC対応のドライブを用意したうえで、M-DISCへの保存を検討してみてはいかがでしょうか。M-DISCを含め、長期保存に適した複数の方法を組み合わせることで、より安全にデータを保存することができるでしょう。