SSDに使われている「NAND」とは? フラッシュメモリの基礎知識

SSDやUSBメモリ、SDカードなどには「NAND型フラッシュメモリ」と呼ばれるフラッシュメモリが採用されています。しかし、NAND型フラッシュメモリという名前を聞いても、どういうものなのかよくわからない方が多いかもしれません。そこでこの記事では、SSDを知るうえでも重要な、NANDやフラッシュメモリの基礎知識について解説します。NAND型フラッシュメモリはSSDの寿命や性能に大きく関係する要素なので、SSD製品を選ぶ際にも、NAND型フラッシュメモリの知識を生かすことができるでしょう。
※この記事は2026/07/14に再編集しました。
目次
データを記録するのが「フラッシュメモリ」の役割

NANDがどのようなものかを知るには、まずフラッシュメモリとは何かを知っておく必要があります。
フラッシュメモリとは、データの読み書きを行える記録媒体の一種です。電源を切った状態でも記録したデータが消えずに残る「不揮発性メモリ」に分類されます。SSDやスマートフォンのストレージ、USBメモリなどがフラッシュメモリの一例です。フラッシュメモリにデータを記録する最小単位は「セル」と呼ばれます。
フラッシュメモリという名前は、カメラのフラッシュのように、データの消去が一瞬でできることにちなんで名づけられたとされています。
フラッシュメモリのNORとNANDの違い

フラッシュメモリは、セルの構成の違いから「NOR型」と「NAND型」に大きく分けることができます。ここでは、NOR型とNAND型のそれぞれの違いをご紹介します。
NOR型
各セルが並列に接続されているフラッシュメモリがNOR型です。1ビット単位で読み取りを実行でき、ランダムアクセスが高速という特長を持っています。また、NAND型フラッシュメモリに比べて保存したデータが破損しにくい性質も備えています。
一方で、書き込み速度は遅く、大容量化にも適していません。そのため、主にルーターやプリンターなどのOSやファームウェアを保存するメモリとして広く使われています。
NAND型
NOR型の後に開発されたフラッシュメモリで、通常はフラッシュメモリといえばNAND型を指します。各セルを直列に配置していて、NOR型と比較してランダムアクセスは低速になりますが、データの書き込みが高速な点や、集積化が容易で大容量化しやすい点がメリットです。
近年は、メモリセルを立体的に積み重ねて大容量化と低コスト化を実現した「3D NAND」が主流となっていて、SSDやUSBメモリ、スマートフォンの内蔵ストレージなど、さまざまな機器で使われています。
NAND型フラッシュメモリでデータを保存する仕組み

NAND型フラッシュメモリがデータを保存する仕組みは、「フローティングゲート」と呼ばれる場所に電子を蓄えたり放出したりするというものです。この出し入れの際に、電子は「トンネル酸化膜」と呼ばれる部分を突き破って移動します。電子の移動によって酸化膜は徐々に劣化していくため、最終的には電子を蓄えられなくなり、正しくデータを保存できなくなってしまいます。つまり、書き込みや消去の回数が増えるにつれて、セルにデータを保持できる期間が短くなっていくのです。
NAND型フラッシュメモリのメリット

NAND型フラッシュメモリは、HDD(磁気ディスク)やCD・DVD(光学ディスク)にはないさまざまなメリットを持っています。
SSDに代表されるNAND型フラッシュメモリのメリットは、次の3点です。
他の記憶媒体よりも読み書きの処理が高速
NAND型フラッシュメモリは、物理的に駆動する部品がありません。そのため、他の記憶媒体に比べるとデータ処理が高速で、大量のデータでも短時間で読み込んだり、書き込んだりすることができます。
ただし、具体的にどれくらいの速度でデータを処理できるかは製品によって大きく異なります。
物理的な故障に強い
HDDやCD・DVDなどの光学ディスクは、データ処理の際に物理的に駆動する部品があります。そのため、落下などの衝撃に弱く可動部品が故障しやすいというデメリットがありました。
一方で、NAND型フラッシュメモリは電子のやり取りでデータを読み書きするため、物理的に駆動する部品がありません。可動部品がない分、故障しにくいといえます。
また、ディスクを格納したり、読み書きするための部品を備えたりする必要がなく、小型化しやすい点もメリットです。
NAND型フラッシュメモリの種類

NAND型フラッシュメモリは、使われるセルによっていくつかの種類に分けられます。ここでは、NAND型フラッシュメモリの種類とそれぞれの特長をご紹介します。
※記事に記載の書き換え回数の上限は理論上の目安で、実際の製品寿命は使用環境などによって異なります。
SLC
1つのセルに対して1ビットの情報を保存できるフラッシュメモリがSLC(シングルレベルセル)です。正確性や信頼性、耐久性に優れている点が特長で、書き換え回数の上限(寿命)は9万〜10万回ほどとされています。
ただし、1セルに格納できる情報量が少ないため、低容量で価格が非常に高価などのデメリットがあり、一般ユーザー用途には適していません。
MLC
MLC(マルチレベルセル)は、1つのセルに対して2ビットの情報を保存できるフラッシュメモリで、データ密度がSLCよりも高く大容量を実現できる点が特長です。
1つのセルの中に入れる情報量が増えた分だけ読み書き頻度も上がるため、SLCに比べると寿命は短く、書き換え回数の上限は8,000〜1万回ほどとされます。一般ユーザー向けとして市場に出回っているSSDでも、広く使われていましたが、現在は産業用やハイエンドのSSDなどが採用しています。
TLC
TLC(トリプルレベルセル)は、1つのセルの中に3ビットの情報を入れられるフラッシュメモリです。書き換え回数の上限は3,000〜5,000回程度と、MLCより寿命はさらに短いですが、より安価で大容量にできる点が特長です。近年は家庭用ゲーム機や一般用途のパソコン用ストレージでも広く使われています。
QLC
1セルに4ビットの情報が保存可能なNAND型フラッシュメモリがQLC(クアッドレベルセル)です。NAND型フラッシュメモリの中でもとりわけ低価格と大容量を両立していますが、1セルあたりの書き換え回数は500〜1,000回程度と、耐久性は劣ります。
おわりに NANDの知識をSSD選びに活用しよう
SSDなどのストレージにおいて、NAND型フラッシュメモリの種類は寿命などに関わる重要な要素です。種類によって特長が異なるため、用途に応じて適切なタイプを選ぶ必要があります。NANDの知識を身につけておけば、SSDを選ぶ際などに役立つはずです。SSDを新しく購入する際などは、NAND型フラッシュメモリの種類にも気を配ってみてはいかがでしょうか。
「NAND」に関連するよくある質問
フラッシュメモリのNANDとは何ですか?
NANDはフラッシュメモリの方式のひとつです。データを保存するメモリセルが直列に配置されていて、他の記憶媒体よりもデータ処理が高速な点や、NOR型よりも大容量化に適している点がメリットとして挙げられます。
NOR型とNAND型は何が違うのですか?
NOR型もNAND型もフラッシュメモリの一種ですが、特長が大きく異なります。
セルを並列に配置するNOR型はランダムアクセスに強く、読み出しが高速です。データを素早く読み取るのは得意ですが、書き込み速度は遅く、大容量化にも適していません。主に、ルーターのファームウェアなど、素早い読み込みが求められる用途に適しています。
一方で、セルを直列に保存するNAND型は大容量化しやすく、書き込み速度にも優れているのが特長です。SSDなどで広く採用されているのは、このNAND型フラッシュメモリになります。
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