ITにおける「ハブ」とは? 意味や種類、ルーターとの違いを解説
ITの分野では、さまざまな専門用語が使われています。「ハブ」という機器の名称も、一般の単語から派生したIT特有の用語のひとつです。パソコンに関する説明や記事で使われているため、聞き馴染みがある方も多いでしょう。しかし、意味はよくわかっていないという方もいるかと思われます。そこで今回は、ハブと呼ばれる機器の概要や種類、似たような機能を持つルーターとの違いなどをご紹介します。
目次
ハブとは?
本来ハブ(Hub)とは、車輪(ホイール)などの中心部のことを指す言葉です。そこから転じて、物事の中心や中核、集約点という意味で使われるようになりました。たとえば、各地からさまざまな航空路線が乗り入れ、重要な中継地としての機能を持つ空港は「ハブ空港」と呼ばれます。
ITの分野におけるハブは、複数のケーブルを集約する装置の名称として用いられています。複数のUSBケーブルをまとめてたくさんの機器を接続できる「USBハブ」をイメージすると、わかりやすいかもしれません。ただし、単に「ハブ」といった場合は、ネットワーク用のLANを接続する集線装置(ネットワークハブ)を指すことが多いです。
ネットワークハブにおいて、特定のケーブルから来た信号は、必ずハブを通過して他のケーブルに流れていきます。このような通信形態は「スター型ネットワーク」と呼ばれます。
ネットワークハブの種類
単にハブとひと口にいっても、データの転送方法の違いなどによって、複数の種類に分けることができます。ここではネットワークハブの種類と、それぞれが持つ特長をご紹介します。
リピータハブ
特定の端末から送られてきた信号を、一旦すべての端末へと送信する方式のハブです。性質上、リピータハブがデータを送信している間は、他の端末同士で通信を行うことはできません。接続している機器が多くネットワーク構成が複雑な場合などは、通信が非効率になる恐れもあります。
スイッチングハブ
ハブに送られてきたデータを、MACアドレスを基にして判別し、送信先となる特定の端末だけにデータを送る方式のハブです。MACアドレスとは、各機器が持っている固有の識別番号のことを指します。
送信先となる端末にデータを直接送れるため、ネットワーク全体の負荷を軽くできるのがメリットです。また、リピータハブとは異なり、複数の通信を同時に行うことができます。ただし、送信先の端末を判別する時間がかかることから、小規模ネットワークの場合はリピータハブよりも通信速度が遅くなる可能性もあります。現在用いられているネットワークハブは、このスイッチングハブが主流です。
ルーターとハブの違い
有線LANによるネットワークを構成する際に、ルーターと呼ばれる機器を使用する場合もあります。ハブと同じような機器と勘違いされがちですが、それぞれの役割は異なるため注意が必要です。
前述のように、ハブは複数のケーブルを接続して集約するための機器です。使用する目的は、あくまでも接続できる機器を増やすことにあります。一方で、ルーターは異なるネットワーク同士を接続することを目的とした機器で、複数の端末をインターネットに接続する際に使用するものです。ハブだけ用意しても、ルーターがなければインターネット通信を行うことはできません。
ただし、ルーターのなかには複数のLANポートを搭載している機器も多くあります。そのようなルーターは、ハブとして兼用することも可能です。
ネットワークハブ以外のハブ
ネットワークハブ以外にも、複数のケーブルを集約できるアイテムはいくつかあります。ここでは、複数の機器を接続できるようになるUSBハブと、ドッキングステーションについてご紹介します。
USBハブ
デバイスに備わるUSBポートを増設して複数のUSB機器の接続を可能にする機器は、USBハブと呼ばれます。USBポートの数が少ないパソコンでも、たくさんの周辺機器を接続できる点がメリットです。規格上は5段(6階層)までツリー状に接続でき、最大127台の周辺機器の接続を行えます。
USBハブは、電源の供給方法によって、パソコンから直接電源供給を受ける「バスパワータイプ」と、ACアダプタから電源供給を受ける「セルフパワータイプ」の2つに分けられます。バスパワータイプは、消費電力が大きな機器の接続には向きませんが、コンパクトな製品が多く、持ち運びがしやすい点がメリットです。一方のセルフパワータイプは使用場所が限られるものの、消費電力が大きい機器も接続して使えます。
ドッキングステーション
USBハブと似た機能や形状の機器に、ドッキングステーションというものがあります。USBハブは、あくまで「USBポート」だけを増やすための機器です。一方でドッキングステーションは、USBだけでなく、映像出力端子やSDカードスロットなど、さまざまな接続端子を備えています。製品によってはLANポートを搭載している場合もあり、USBハブよりも幅広い機器の接続を集約することが可能です。
ドッキングステーションを用意して、デバイスから1本のケーブルで多くの周辺機器を管理すれば、機器の取り外しがすぐに行えたり、端子が少ないデバイスでもたくさんの機器を使用したりできます。デバイスに接続する機器が多い、デバイスのポート数が少ないといった悩みを抱えている方は、ドッキングステーションを活用するのがおすすめです。