実は寿命がある?USBメモリをできるだけ長く使用する方法

USBメモリは大容量化と低価格化が進みビジネスユースはもちろん、家庭用ゲーム機(Wii Uなど)にも使われるほど普及しています。USBメモリはさまざまなシーンで使われる機器ですが、寿命があることは意外と知られていません。寿命を迎えると突然USBメモリが使用できなくなるなど、ビジネスで致命的な損害を与えます。当記事ではUSBメモリの寿命を延ばす方法、そしてデータバックアップに向いている外付けHDDやSSDを解説・紹介します。
USBメモリの寿命は動作保証年数を確認しておこう
USBメモリの寿命(データ書き換え可能回数や保持期間)は製品や使い方によって異なりますが、NAND型フラッシュメモリが使われている一般的なUSBメモリの寿命はおよそ1〜2年と言われており、平均3年程度と考えられます。品質が良いUSBメモリであれば10年以上の寿命を持つ製品もあります。USBメモリの寿命は購入前に、動作保証年数を確認することはとても大事です。
一般に使用されるUSBメモリはNADN型フラッシュメモリと呼ばれるデータを記憶する素子で構成されており、パソコンと素子の間で記憶データの読み出しや書き込みを行うことでUSBメモリとしての機能を果たします。
NAND型フラッシュメモリにデータを読み書きする際、酸化膜でできた絶縁体を電子が突き抜けるため、使用ごとに劣化が進み、USBメモリはいつか寿命を迎えることとなります。尚、使っているパソコンのOSの種類とUSBメモリの寿命との因果関係はありません。皆さんが気になるUSBメモリの寿命にはNAND型フラッシュメモリ(フラッシュメモリ)の仕組みが関係していますので、以下解説していきます。
SLC(シングルレベルセル)とは?
SLCとはシングルレベルセルの略称で、最も信頼性と寿命が長いタイプのフラッシュメモリメモリの記憶方式です。 SLCはデータの読み書き(コピー)をする際に1回だけデータが消去・書き込みされます。つまり、データを記憶する素子の使用頻度が少ないため寿命は長めでおよそ10万回の読み書きに耐えられます。信頼性の高さや寿命の長さから、ビジネス用途(クリティカルなデータの取り扱い)に向いている記憶方式です。
MLC(マルチレベルセル)とは?
MLCとはマルチレベルセルの略称です。MLCではデータ容量(ビット数)に合わせて記憶素子に含まれるデータ量を変える技術が採用されており、1つの素子に多くのデータが記憶できるという利点があります。
しかし、MLCでは記憶する電子量(記憶データ量)を細かく管理するため素子の寿命がSLCに比べると短くなってしまい、USBメモリとしての寿命は1万回程度の読み書きと言われています。SLCに比べると寿命が短い代わりに安価なため、一般的な使用には十分耐えられます。ビジネス用途としては、ライトな使用には適しています。
TLC(トリプルレベルセル)とは?
TLCとはTriple Level Cell(トリプルレベルセル)の略称で、フラッシュメモリでは最も安価で寿命が短いフラッシュメモリの記憶方式です。TLCではひとつのデータ記憶素子に3ビットのデータを保持することができるため、USBメモリよりむしろ安価で大容量のSSDに採用されることが多い方式 です。
寿命は500回〜1,000回程度の読み書きとされているため、ビジネス用途には向いていません。よって、TLCはシンプルな用途(メールやネットサーフィンなど)に向いています。
USBの寿命を確かめる方法はあるの?
ここまでに解説したようにUSBメモリには寿命がありますが、この寿命をチェックしたいと考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか?USBメモリの寿命をチェックするには、寿命診断テストができるUSBメモリ を使用すると良いでしょう。用途に合わせて2GB〜32GB容量の製品があり、使用頻度データから寿命診断サービスを利用できます。
ビジネスにおいてUSBメモリの使用は不可欠ですが、先述の通り使用するたびにフラッシュメモリ(メモリーに使われる記憶素子)は劣化しています。USBメモリの診断はフラッシュメモリの限界を示す症状が出る前に行う必要があります。
USBメモリが寿命を迎えてしまったら何が起こる?
USBメモリが寿命を迎えると、データの破損やファイルの書き込みができなくなるといったエラー(症状)が表れます。そしてデータがまったく記録できなくなったとき、USBが寿命を迎えたことになります。ほかにUSBメモリを長期間放置しておくと、データが揮発(消失)してしまうこともあります。
ReadyBoost(※)機能の使用など常に通電されている場合は心配ありませんが、一般に使用している場合は定期的にUSBメモリのデータを書き換えるようにしましょう。
※ReadyBoost:ハードディスクドライブのキャッシュ領域の代わりにフラッシュメモリを使用すること
知らないうちにUSBメモリの寿命を縮めているかも
上で説明した通り、USBメモリはデータ記憶素子の読み書きの回数(素子内のデータ消去回数)が多いほど寿命が縮みます。 またUSBメモリを放置していてもデータが揮発(消失)してしまうため、使用頻度のチェックは欠かさずに1年に1度は通電してください。もうひとつ注意すべき点として、長期間USBメモリを放置しておくとUSBメモリの接続端子にホコリや汚れが付着していまいます。
ホコリが付着した状態でUSBメモリを通電すると、USBメモリに正しく電流が流れず(例えば過電圧など)にデータが破損 されてしまい、結果としてUSBメモリの寿命を縮めてしまう原因となります。ホコリの付着や汚れを防ぐため、接続端子にキャップやUSB本体内に接続端子を収納できる製品もあります。またUSBメモリを挿しっぱなしにしておくと、物をぶつけてしまって接続端子が損傷してしまい、USBメモリの寿命を縮めてしまうことになりかねません。
USBメモリは取り扱いが容易ですが、精密機器であることにはかわりありません。寿命や保管方法には十分に注意しましょう。
USBメモリの寿命を延ばす方法はあるの?
USBメモリには、CPUからの命令の制御やUSB回路(USBバス)の制御を行うコントローラーチップという部品が使われています。コントローラーチップは、データ記憶素子の書き込み回数(コピー回数)が一部の素子に集中しないようにするウェアレベリングと呼ばれる機能が備わっています。
しかし、USBメモリを長期間使用していると記憶素子の書き込み回数が増えてしまいデータを保持するメモリセルの断片化が起こります。断片化が起きるとデータアクセス速度が遅くなるため、USBメモリをデフラグしてしまう方も少なくありません。このデフラグを行うとUSBメモリの寿命を縮めてしまうことになるので、頻繁なデフラグは避けるようにしましょう。
また、デフラグは記憶データ配置を並び替えるデリケートな作業(記憶素子を直接扱う作業)です。初心者の方はデフラグをできる限りしないことをおすすめします。
USBメモリに保存するデータ多いほど、記憶素子の書き込み回数が増えることにはすでに触れました。従って、記憶させるデータ量はUSBメモリ容量の半分以下に抑えることで寿命を延ばすことが可能となります。
USBメモリの寿命を心配なら外付けHDDやSSDの併用がベスト
USBメモリは長期間の放置や落下などによる物理的な破損、データ書き換え回数制限 など、寿命を気にしながら使用することになります。ビジネスにおいて、データ保管や頻繁なUSBメモリの使用は避けられません。中にはSDカードを使用されている方もいらっしゃると思いますが、SDカードも基本的にUSBメモリと同じようにフラッシュメモリを使用しているため、長期間の放置によるデータの揮発(消失)など色々な心配がつきまといます。
USBメモリの寿命が心配ならば、外付けHDD(ハードディスクドライブ)やSSDの併用を検討されてはいかがでしょうか?特にバックアップ用途において、外付けHDDはUSBメモリに比べるとデータ揮発が起きにくいですし、SSDやHDDは耐衝撃性にも配慮されている ため信頼性は抜群に高いのです。
おわりに USBの寿命を理解し用途に合わせて記憶媒体の構成しよう
今回ご説明したように、USBメモリは書き換え回数制限や長期間の放置によるデータの揮発(消失)、物理的破損などによる寿命や取り扱いに注意しなければいけません。ビジネスユースにおいてデータ携帯性やパソコン間のデータの移動には重宝するものの、また保存できるデータ容量も大きくないため、バックアップ用途にも向いていません。容量を気にせずデータを保存したい場合、重要なデータをバックアップするのであれば外付けのHDDやSSDをおすすめします。
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