M.2 SSDとは?M.2のメリットや注意点をご紹介

HDDに代わるストレージとして、PCなどを中心に使用される機会が増えているSSD。さまざまな種類がありますが、近年はM.2 SSDと呼ばれる規格を目にすることが多くなりました。しかし、M.2 SSDは他のSSDとどのように異なっているのでしょうか。この記事ではM.2 SSDについて、そのメリットや注意点をご紹介します。
(※この記事は2022/4/7に再編集しました)
M.2 SSDとは
M.2(エムドットツー)とは、コンピュータの拡張カードにおいて接続端子となる規格のことで、「M.2規格を接続端子としたSSD」を「M.2 SSD」と呼びます。接続にケーブルを用いず、直接マザーボードへ差し込むスロット方式を採用していて、基板がむき出しになった形状をしているのが特長です。またM.2端子はコンパクトな形状で、SSDそのものや採用する機器本体の小型化・軽量化にも寄与しています。
M.2と併せて理解しておきたいmSATAやPCIe
M.2 SSDを知るうえで欠かすことができないのが、「mSATA」や「PCIe」、「NVMe」という規格です。それぞれ、どのようなものなのかをご紹介します。
mSATA
mSATAは、ノートPCなどで使われていた接続端子の規格です。M.2と同様にコンパクトで基板がむき出しになった形状をしていて、スロットに直接挿し込んで使用します。
mSATAはSATA規格をベースに作られているため、データの転送速度自体はSATAと変わりません。そこで転送速度を向上させるなど、性能や機能面のアップデートを行った後継規格がM.2に当たります。M.2 SSDの登場にともない、近年はmSATA SSDを目にする機会は減っていますが、ノートパソコンの小型化や薄型化に大きく貢献した規格といえるでしょう。
PCIe
PCIe(PCI-Express)とは、パソコンの拡張スロットなどの接続規格です。グラフィックボードやLANカードなど、高速なデータ転送を行う周辺機器で採用されていて、マザーボード上のスロットに直接挿して使用します。転送速度の理論値は世代やレーン数によって異なりますが、PCIe Gen4では×1レーンで16Gbps、×32レーンだと512Gbpsもの転送速度を誇ります。
NVMe
NVMe(Non-Volatile Memory Express)は、SSDなどフラッシュメモリの通信を最適化するために開発された通信プロトコルです。通常はPCIeと組み合わせて使用します。
また、NVMeと併せて「AHCI(Advanced Host Controller Interface)」という通信プロトコルの名前が挙がることもあります。どちらも通信プロトコルである点は変わりませんが、AHCIはHDDでの使用を前提としたSATA規格に最適化されたものです。データ処理や転送速度といった性能面でも、AHCIよりNVMeの方が大きく向上しています。
M.2 SSDのメリット
SSDで採用されているSATAやmSATAといった接続方式と比較したとき、M.2にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、M.2 SSDが持つメリットについてご紹介します。
従来のSSDより小さい
M.2 SSDは、従来の2.5インチSSDやモバイル型ノートPCに採用されてきたmSATAよりも、さらにコンパクトなのが特長です。mSATAはカードのような形状で約30mmの幅がありますが、M.2はスティック状で幅は約22mmと、より小型化されていることがわかります。
マザーボードのベイを占有しないなどのメリットもあるため、小型化が要求されるモバイルノートPCやタブレット端末だけでなく、近年はデスクトップPCでM.2 SSDが採用されることも少なくありません。
データ転送速度が高速
M.2 SSDのメリットとして、インターフェイス次第でデータ転送速度を向上させられる点も挙げられます。PCIe(NVMe)接続を採用したM.2 SSDの最大転送速度は、「理論上は40Gbps」と非常に高速です。
M.2以前からある規格「SATA3」の最大転送速度は6Gbps(理論値)とされているので、M.2を採用すれば、約7倍も最大転送速度が向上することになります。実際の転送速度は使用環境などに左右されますが、大容量のデータをインストールしたり移動させたりすることが多い場合は、M.2 SSDを採用するのがおすすめです。
M.2 SSDの注意点
メリットが多いように見えるM.2ですが、確認や注意が必要なポイントもあります。M.2 SSDの購入・導入に際して、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
接続方法が分かれている
M.2 SSDの接続コネクタは、大きくM-keyとB-key、B&M‐keyの3種類に分けられ、種類によって切り欠きの位置が異なります。マザーボードのスロットとM.2 SSDのコネクタ形状が異なると動作しないため、使用しているパソコンのマザーボードがどのコネクタに対応しているのか確認が必要です。
レーンは1本で10Gbpsなので、単純に4レーンの場合は40Gbps、2レーンの場合は20Gbpsとなります。(PCIe3.0の場合)よく製品にPCIe3.0×4のような記載はPCIeのGen3の4レーン接続という意味になります。また、データ転送速度だけでなくコネクタ部分の形状も異なるため、購入時には、自身の使用しているパソコンのマザーボードはどちらのコネクタに対応しているのか確認が必要です。
サイズが複数ある
M.2端子の幅は約22mmとご紹介しましたが、奥行きは製品によって異なります。主流となっているのは「奥行き80mm」のものですが、「奥行き42mm」や「奥行き60mm」といったサイズの製品もあるため注意が必要です。
M.2のサイズは、スペック表やカタログに「○○2280」などと表記されていることが多いです。購入の際は、マザーボードのスペースに収まるサイズかどうかを確認するようにしましょう。
必ず高速化するとは限らない
M.2 SSDは、接続方式からSATA接続とPCIe(NVMe)接続の2種類に大きく分けることができます。SATAを採用しているM.2 SSDの場合、データ転送速度は従来のSSDと同じです。つまり、M.2を採用したからといって必ず高速化するわけではありません。
データの転送速度を速くしたい場合は、PCIe(NVMe)接続を採用している製品を選ぶ必要があります。
また、PCIe(NVMe)接続のM.2 SSDを採用する際は、PCIeのレーン数や世代も確認しておきましょう。製品にPCIe3.0×4のような記載がある場合は、PCIeのGen3の4レーン接続という意味です。レーンは1本で10Gbpsなので、単純に4レーンの場合は40Gbps、2レーンの場合は20Gbpsとなります(PCIe3.0の場合)。基本的には、記載してある世代やレーン数が大きいほど転送速度も速いです。
NVMeモデルは熱にも注意
PCIe接続を使用しNVMeが採用されているM.2 SSDは、データ転送速度が非常に高速な反面、温度が高くなりやすいというデメリットがあります。特にM.2 SSDはサイズが小さいため発熱対策が難しく、データの書き込みや読み出しを長時間続けると温度が高くなりやすいです。温度が高くなると、SSDは処理能力を落として熱暴走を避けようとするため、データ転送速度が低下する恐れがあります。M.2 SSDを使用する際は、ヒートシンクやファンでSSDを冷却するなど、発熱対策が必要です。
おわりに M.2 SSDの特長を理解してSSD選びに役立てよう
M.2 SSDは接続方式がいくつかあり、種類によって性能や大きさも異なります。「M.2 SSDを選べばデータ転送速度が上がる」とは限らず、適当に選んでしまうと、「性能が上がらなかった」「使用しているマザーボードが対応していない接続方式だった」という事態にも陥りかねません。製品の種類ごとの特長をしっかり踏まえ、ご自身が求めている要素を実現するための選択を心がけることが大切です。

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