DRAMはどのようなメモリ?動作の仕組みやフラッシュメモリ、SRAMとの違いとは
パソコンを選ぶ時などに、機種ごとの機能・性能について事前にWebサイトやカタログで確認したり、販売店で説明を受けたりする方は多いでしょう。その際、メインメモリの性能がどれくらいかについて調べていると、「DRAM」という言葉をよく見かけるはずです。そこでこの記事では、メモリの一つであるDRAMについてご紹介します。DRAMとはどのようなものなのかを知ることで、メインメモリやパソコンなど、さまざまな製品を選ぶ際のヒントになるでしょう。
DRAMとは
DRAM(Dynamic RAM、ディーラム)は、RAM(Random Access Memory)と呼ばれる半導体メモリの一種です。構造が単純で、比較的安い価格で大容量な製品を製造できるため、パソコンのメインメモリなどに広く使われています。
日本でも一時は数多く生産され、日本のメーカーが生産シェアの大半を占めていたこともありますが、近年は韓国のメーカーがシェアの多くを占めている状況となっています。
DRAMの仕組み
DRAMは、内部のコンデンサとトランジスタを合わせた記憶素子を利用して動作し、記憶素子に電荷が蓄えられた状態を「1」、蓄えられていない状態を「0」とすることで、データの読み取りを行っています。
なお、電荷は時間経過とともになくなってしまうのでデータの消失を防ぐために、定期的な再書き込み(リフレッシュ)を行わなければいけません。このように、メモリに電気が流れている間だけデータの記憶が行われるため、「揮発性メモリ」に分類されます。
また、DRAMはデータ転送効率の改良が重ねられているため、データへのアクセス速度や方法の違いなどによりいくつか規格が存在しており、現在は「DDR3 SDRAM」や「DDR4 SDRAM」が広く普及しています。DDR3やDDR4など、メモリの規格は互換性がないため、特にメインメモリを購入する際は注意が必要です。
フラッシュメモリやSRAMとの違い
半導体メモリには、DRAM以外にも「フラッシュメモリ」や「SRAM」などの種類があります。ここでは、フラッシュメモリやSRAMがDRAMとどのように異なった特長を持っているのかについてご紹介します。
フラッシュメモリとは
フラッシュメモリは「不揮発性メモリ」と呼ばれ、揮発性メモリであるDRAMとは異なる性質を持った半導体メモリです。ROM(Read Only Memory)の一種であるEEPROMの技術が発展して作られたので、フラッシュROMと呼ばれることもあります。
フラッシュメモリの大きな特長の一つは、DRAMとは違い、電気が流れていなくても記憶データを保持することができる点です。そのため、継続して電気を流し続けるDRAMよりも消費電力が少ないというメリットがあります。
また、フラッシュメモリは動作方式や素子の構造によって、大容量化や書き込みの高速化がしやすい「NAND型」と、信頼性は高いものの低速な「NOR型」の2種類に分けられます。NAND型のフラッシュメモリは、大容量化が簡単な点や消費電力の少なさといった特長を活かし、SSDやSDカード、USBメモリなど、データ記憶用のストレージとして用いられています。一方NOR型は、信頼性の高さからルーターなどのプログラムデータの保存に使われることが多いです。
以前はフラッシュメモリのデメリットとして、「容量あたりの単価コストが高い」ことが挙げられていました。しかし最近は、さまざまな機器や媒体でフラッシュメモリが普及したため、価格も安くなりつつあります。
SRAMとは
SRAMは「Static RAM」の略称で、DRAMと同じく揮発性の半導体メモリです。記録素子には「フリップフロップ回路」と呼ばれる構造を採用しており、DRAMのように定期的にリフレッシュ動作を行う必要がありません。また、データの読み書きも高速に実行できたり、電力消費量を少なく抑えられたりとメリットの多いメモリです。
ただし、SRAMはDRAMと比較して回路が複雑で、容量の集積化・高密度化が難しいため、容量あたりの単価は高くなってしまうというデメリットがあります。そのためSRAMは、メモリ容量を大きく必要としないCPU内部のキャッシュメモリなどで使用されることが一般的です。