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スーパーシティ構想とは?求められる背景や実現に向けた課題を解説

スーパーシティ構想とは?求められる背景や実現に向けた課題を解説

AI(人工知能)などの先端技術をまちづくりに生かした未来都市「スーパーシティ」実現に向け、規制の緩和などを盛り込んだ「改正国家戦略特区法」が2020年5月27日に国会で可決・成立し、6月3日に公布されました。今後は実現に向けた動きが加速していくと考えられるスーパーシティですが、具体的にどのようなまちづくりを目指すものなのでしょうか。今回は、未来に向けた新しいまちづくりの「スーパーシティ構想」について解説します。

スーパーシティ構想とは

「スーパーシティ構想」とは、先端技術を活用した遠隔教育や医療、ドローンによる自動配送や自動車の自動運転、キャッシュレス決済などのサービスを住民へ提供する「住みやすい未来都市」を、国や地域、事業者が一体になって実現させようという取り組みです。

先端技術の活用などは行政や事業者によって行われますが、国民目線でのより良い未来の社会、生活を包括的に先行実現するための構想です。

「国家戦略特区法」を活用して、先端技術の活用の弊害となっている規制を緩和することで、最先端の未来都市を実現しようとしている点も、スーパーシティ構想の特長のひとつです。

スーパーシティ構想が求められる背景とは?

現在の日本は、少子高齢化や人口減少、そして都市部への人口集中などの社会問題を抱えています。ITを活用した暮らしやすいまちづくりを行って、これらの諸問題を解決しようということが、スーパーシティ構想の背景にあると考えられます。

スーパーシティの検討を進めている自治体などからアイデアを募集する「自治体アイデア」を実施したところ、2020年6月までに56団体からアイデアが提出されるなど、スーパーシティ構想には全国各地から大きな関心が寄せられています。

スーパーシティとスマートシティの違い

スーパーシティとよく似たまちづくりの構想に「スマートシティ」があります。スマートシティはITなどの先端技術を活用し、エネルギーや環境にも配慮した住みやすいまちづくりを目指す取り組みを指します。

一方スーパーシティは、先端技術を活用したサービスを実現する際に問題となる規制を地域限定で緩和し、積極的に整備を進めていくものです。規制の限定的緩和の有無が、地域を限定した「特区」として扱われるスーパーシティと、そうではないスマートシティの違いです。

スーパーシティの実現で暮らしはどうなる?

スーパーシティが実現することによる人々の暮らしの変化として、生活に密接したところでは、完全なキャッシュレス化や、スマホなどの個人端末による行政手続きの実現が挙げられます。その他にも自動運転・自動配送や自動ゴミ収集、遠隔医療など、さまざまなサービスの利用が可能となります。

また、通院予約と自動車の配車サービスを連携させて、自動的に車が手配されるようにするなど、行政や民間企業が持っているデータを共有・分析することで、一人ひとりの住民に適したサービスを提供する仕組みも設けられる方針です。スーパーシティの実現によって暮らしの利便性が高まり、人口減少に悩む地方の活性化につながることも期待されています。

スーパーシティ実現に向けた課題

「まるごと未来都市」ともいわれるスーパーシティの実現に向けては、まだまだ課題が残されています。具体的には、どのような課題があるのでしょうか。

情報漏えいの可能性がある

スーパーシティではデータを安全な技術で集中管理することや、事業者が管理する情報と行政が持つ情報を出し合うことで、相互連携のための基盤づくりが可能だとしています。

事業者が行政に情報提供を求めることができるため、国や自治体が持っていた個人情報などが、事業者にわたってしまう恐れがあります。情報漏えいの危険性や、個人情報をどのように保護すれば良いのかといった点は、スーパーシティ構想の課題のひとつです。

住民の意見が無視される恐れもある

スーパーシティの整備には、住民の合意が必要とされていますが、実際にどのように合意がなされるかについて明記されていないという批判もあります。

首長などが強引に整備を進めてしまい、住民の意見が反映されない可能性があるといった指摘も、解決が求められる課題といえます。

おわりに スーパーシティ構想の今後の動向に注目しよう

先端技術を利用して住みやすい都市をつくる「スーパーシティ構想」は、改正国家戦略特区法が成立したことで、実現に向けた動きが加速していくと考えられます。スーパーシティによって地方の活性化が期待できるなどのメリットもありますが、個人情報保護や住民の意見の反映をどうするかなど、実現に向けては課題も残されている状況です。

指摘されている課題や不安を解消し、暮らしやすい未来都市の実現をどう目指すかが問われています。スーパーシティ構想は国と地域、事業者、住民のすべてが当事者になるものです。今後どうなっていくのか、その動向に注目していくべきでしょう。

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