USB Type-Cの特長は?機能から見る規格のメリット

現在、iPhoneやiPad、Macパソコン、Androidスマートフォン・タブレット、家庭用ゲーム機、アクションカメラなど、数多くのデバイスで採用されているUSBのコネクタ規格が「USB Type-C(TM)」です。コネクタ部分の形状が従来のUSBとは異なる点が分かりやすい特長ですが、それ以外にはどのような点が進化しているのでしょうか。この記事ではUSB Type-C(TM)の特長やメリット、従来にはなかった機能などについてご紹介します。
※この記事は2025/4/30に再編集しました。
目次
USBとは
USBとは「Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)」の略称です。USB規格が策定される前のパソコンの周辺機器は、マウスは「PS/2コネクタ」、プリンターは「IEEE 1284」など、機器ごとにコネクタ(端子)の形状が異なっていました。
USBは、パソコンに接続する周辺機器の端子の統一規格として考えられたものです。しかし、実際には性能向上のための進化の過程で、USB-AやUSB-Type-B、Micro USBのようなコネクタの形状、通信速度や仕様の違いなどが生まれ、現在はさまざまなタイプのUSBが存在しています。
そのような中で、パソコンやタブレット、スマートフォンなど、現在多くの機器で採用されているのがUSB Type-C(TM)です。
USB Type-C(TM)の特長
さまざまな規格があるUSBですが、USB Type-C(TM)は、どのような特長を持っているのでしょうか。ここでは、従来のUSBコネクタとUSB Type-C(TM)の異なる点についてご紹介します。
上下左右の区別がないコネクタ形状
USB Type-C(TM)コネクタは「上下左右対称となっている端子形状」を採用しています。そのため、コネクタ接続時にはリバーシブルに挿し込むことが可能で、USB-AやUSB-Type-B端子のように「上下が逆向きで挿さらない」といった問題は発生しません。古いAndroidスマートフォンやタブレットに採用されていたMicro USBとほぼ同じサイズで、小型モバイル端末への搭載が容易な点もメリットです。
さまざまなインターフェースとの互換性
USB Type-C(TM)の端子にはUSB 2.0対応のレーンが搭載されているため、従来のUSB規格との互換性もあります。コネクタ形状が異なる従来のUSBケーブルも、USB Type-C(TM)の変換アダプタを用意することで、さまざまな機器と接続できます。
さらに、USB Type-C(TM)は、データ転送や映像伝送といった複数の機能を備えている点も特長です。変換アダプタがあれば、DVIやDisplayPort、HDMI、有線LANといったインターフェースでも使用できます。このように、あらゆる機器との接続やデータ転送、映像転送、給電といった機能を USB Type-C(TM)ケーブル1本で賄うことができるので、用途ごとに異なるケーブルを用意する必要がなくなります。
ただし、「USB Type-C(TM)からUSB-Aに変換する」アダプタは使用できません。「新しいケーブルを古い機器に接続できるようにしたい」といった使い方はできないため、注意が必要です。詳細は、以下のページも併せてご確認ください。
両側の端子が同じ形状でも使える
従来のUSBケーブルは、ホスト側はType-A、デバイス側はType-Bコネクタといった形で、両端でコネクタ形状が異なっていました。しかし、USB Type-C(TM)はホストとデバイスを区別して電力供給を自動で入れ替えできるため、いずれの側にも同じType-Cのコネクタを用いることが可能です。
Type-Bには複数形状のコネクタが混在していましたが、USB Type-C(TM)に関しては1つのコネクタに統一されています。将来的には、1本のケーブルで全ての機器に接続できるようになり、複数のケーブルを持ち歩く必要がなくなると期待されています。
高速なデータ転送が可能
USB Type-C(TM)は高速なデータ転送にも対応しています。データの転送速度は、USB 5Gbps(USB 3.0、USB 3.1 Gen1、USB 3.2 Gen1)の場合は5Gbps、USB 10Gbps(USB 3.1 Gen2、USB 3.2 Gen2)では10Gbps、USB 20Gbps(USB 3.2 Gen2×2)では20Gbpsです。
USB 40Gbps(USB4)規格に対応していれば、最大40Gbpsという速度でデータ転送を行えます。ただし、USB Type-C(TM)ケーブルや対応機器などの製品全てがUSB 3.xやUSB4規格に対応しているとは限りません。
オルタネートモードに対応
「オルタネートモード」とはUSB規格以外の信号をケーブルに流せるモードのことです。USB 10Gbps(USB 3.1 Gen2)規格に対応したUSB Type-C(TM)はオルタネートモードを利用できるため、音声や映像出力も行えます。
例えば、パソコンやスマートフォンとモニターをUSB Type-C(TM)で接続すれば、映像を大画面で楽しむことができます。また、オルタネートモードは、「Thunderbolt 3/4」という高速通信規格を利用して、最大40Gbpsで通信することも可能です。Thunderbolt 3用のケーブルには「パッシブタイプ(信号調整機能がないもの)」と「アクティブタイプ(信号調整機能があるもの)」がありますが、アクティブタイプはThunderbolt 3とUSB 2.0以外の信号を受けることができません。USB 3.x規格のケーブルとして使用したい場合は、パッシブタイプのケーブルを用意しましょう。
USB PDによる急速充電
USB Type-C(TM)はUSB PD(USB Power Delivery/パワーデリバリー)に対応しており、USB PD 3.0で最大100W、USB PD 3.1では最大240Wの電力供給を行えます。電圧についても5V、9V、15V、20Vにそれぞれ対応するため、USB PD規格のさまざまな機器に充電が可能です。スマートフォンのような小型デバイスだけでなく、ノートパソコンやモニターといった機器も、問題なく給電して駆動できます。
また、USB Type-C(TM)を使用するメリットの1つが急速充電です。USB Type-C(TM)コネクタは、機器の情報を通信する「CC」ラインで充電器の供給能力および必要な電流や電圧の情報をやり取りしており、この通信によって急速充電を実現しています。.
USB Type-C(TM)を搭載しているのはどんな機器?
USB Type-C(TM)は、さまざまな機器に搭載されています。スマートフォンやタブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン、ディスプレイ、充電器、アクションカメラ、家庭用ゲーム機、外付けHDD/SSDのようなストレージなどが主な例です。
MacBook Proのように、USB Type-C(TM)端子しか搭載していないパソコンも見られます。従来は独自のLightning端子を採用していたiPhoneシリーズも、2023年発売のiPhone 15シリーズからはUSB Type-Cを搭載しました。
また、外付けHDD/SSDなどのストレージでも、USB Type-C(TM)に対応している製品が増えてきています。USB 10Gbpsなどに対応した外付けストレージなら、データを高速で転送することが可能です。
USB Type-C(TM)を使用する際の注意点
規格の普及に伴いデメリットは減ってきたものの、使用する際はいくつか覚えておきたい点があります。USB Type-C(TM)を有効活用するための注意点は、以下のとおりです。
機器の急速充電にはUSB PD対応の充電器が必須
USB Type-C(TM)コネクタと組み合わせて使われるため勘違いされがちですが、USB PDとUSB Type-C(TM)は別の規格です。全てのUSB Type-C(TM)ケーブルが、USB PDに対応しているわけではありません。
また、USB PDを利用して急速充電を行うためには、USBケーブルだけでなく、充電器(ACアダプタ)やデバイスもUSB PDに対応している必要があります。機器同士の規格が異なっていたり、変換アダプタを使っていたりすると、急速充電が行われないこともあるため、購入時に確認しておきましょう。
オルタネートモードも対応機器が必要
オルタネートモードではUSB 3.x規格のレーンを使用してUSB以外の信号を送受信し、USB信号については余ったUSB 3.xのレーンもしくはUSB 2.0のレーンを使用します。このため、オルタネートモードの使用にはUSB 3.x規格対応のケーブルが必要です。
例えば、映像出力非対応のUSB Type-Cポートを備えたドッキングステーションを経由して、USB Type-Cケーブルでモニターとパソコンを接続しても、映像は出力されません。また、USB以外の信号の送受信に使用するレーン数は、データの種類によって変わります。秒間60フレームの4K映像のように容量が大きいデータをUSB Type-C(TM)ケーブルで出力すると、USBハブの通信速度はUSB 2.0相当まで低下する点にも注意が必要です。
USB Type-C(TM)を採用したロジテックのおすすめ製品
ロジテックでは、USB Type-C(TM)やUSB 40Gbps(USB4)といった最新規格に対応した製品を取り扱っています。ここからは、USB Type-C(TM)対応のおすすめ製品と、その概要をご紹介します。
USB Type C ポータブル 6in1 ドッキングステーション
パソコンと接続した本製品からモニターに映したパソコンの画面を、見せたくない/見られたくない時、瞬時にモニター画面を切り替える(画面をOFFにする)ことができる「見せないトリガー」ボタンを搭載。ケーブルを抜いたり、電源を切ったりすることなく画面を非表示にできるドッキングステーションです。USB-AポートやUSB PDを含むUSB Type-C(TM)ポート、HDMIポート、SD/Micro SDポートを搭載しており、多彩な周辺機器と接続できます。
USB Type C 8in1 ポータブル ドッキングステーション
HDMI 2.0やLAN、SD/MicroSDなど、幅広いデバイスを拡張できる8in1 USB Type-C ドッキングステーションです。電力が不安定になりやすいUSBポートの電力供給状態を見える化し、必要な製品電力が供給されているかをすぐに判別可能なパワーステータスLEDを搭載しています。使用していない時はケーブルをコネクタに留めることで、スッキリとまとめることが可能です。また、各デバイスのポートを2辺に集約しているため、デバイスの接続時にスペースが大きく取られることもありません。
40Gbps USB4 対応 外付け ポータブル SSD Type-C 温度検知ファン
USB 40Gbps(USB4)に対応したポータブルSSDです。USB 40Gbps対応機器と接続すれば、読み込み最大3,650MB/s、書き込み最大3,800MB/sという超高速なデータ転送を行えます。MacOSのインストールや外部起動ディスクとして使用することも可能です。筐体の温度に合わせて自動で稼働する温度検知ファンを搭載しているため、熱暴走による速度低下を防ぎながら、安定した動作を実現します。
外付け SSD 1TB MagSafe ProRes 動画 対応 USB Type-C
スマートフォンやタブレット、パソコン、PS5など、USB Type-C(TM)ポート搭載の幅広い機器に接続して使えるポータブルSSDです。マグネットつきで、MagSafe対応iPhoneの背面に貼りつけておくことができます。USB 10Gbpsに対応しており、容量の大きなデータも高速転送を行えます。
薄型 スリム スティック型 高速 コンパクト 外付け SSD 2TB 読込速度1000MB/ 秒
隣のポートに干渉しにくいスリムな形状と、読込速度1,000MB/s、書込速度700MB/sの高速転送が特長のスティック型SSDです。USBポート同士の距離が近いノートパソコンやUSBハブでも、USBデバイスを複数接続できます。iPadなどの薄型タブレットやノートパソコンに接続した際に、がたつきにくい高さとなっているのも特長です。
外付けHDD ポータブル 2TB USB3.1 Gen2 Type-C
USB-Type-C(TM)ケーブルが付属しており、MacBookをはじめとしたコンパクトなノートパソコンでも使用できる外付けHDDです。USB 10Gbps(USB 3.1 Gen2、USB 3.2 Gen2)に対応している機器と接続すれば、高速なデータ転送を行えます。