複数台のHDD・SSDでRAIDを構築しよう!速度や安全性を高める方法

複数のHDDやSSDを使って「RAID」を構成すると、データ処理の高速化やストレージの信頼性を高めることができます。しかし、RAIDには多くのモードがあるため、目的に適したものを選ぶことが大切です。ここでは、RAIDの主な種類やメリット、実装方法などをご紹介します。
※この記事は2024/6/19に再編集しました。
目次
RAIDとは?
RAID(Redundant Allay of Inexpensive Disks/レイド)とは、複数のHDDやSSDを、1つのドライブのように認識させる技術のことです。複数のモードを使い分けることで、データの安全性を高めたり、処理速度を高速化したりすることができます。
データを保存するHDDやSSDといったストレージは、使っていくうちに徐々に劣化していきます。ある日突然故障して使えなくなり、大切なデータが失われる恐れは捨てきれません。RAID機能を活用すれば、複数のストレージに同じデータを書き込むことで、データの消失を防げます。
また、データを複数のストレージに分散して書き込むRAIDモードを使用すれば、データ処理に掛かる時間を短くすることが可能です。
RAIDの種類とメリット/デメリット
RAIDにはいくつかの種類(モード)があり、それぞれ特長が異なります。データの処理速度を高速にしたい、信頼性を高めたいといった目的に合わせて、適切なモードを使用することが大切です。ここでは、RAIDモードの主な種類と、その特長について解説します。
RAID0(2台以上のドライブを使ってデータ処理を高速化する方法)
RAID0(ストライピング)は、2台以上のドライブに分散してデータを書き込むことで、データ処理の高速化が見込めるモードです。3Dデータや高画質な動画など、大容量のデータを高速で処理したい時に適しています。各ドライブの容量を合計して使える点もメリットです。
しかし、この仕組みには冗長性(複数のドライブを使って耐障害性を高めること)がありません。RAIDを構成しているドライブが1つでも故障すると、データの復旧が極めて困難となります。
RAID1(2台以上のドライブを使って信頼性を高める方法)
RAID1(ミラーリング)は、複数のドライブに同じデータを書き込むことで、信頼性を高めるモードです。複数のドライブに同じデータが記録されるので、どれか1つのドライブが故障しても、データを修復できます。
同じデータを二重にして書き込むため、使用できる容量は「全体の合計ドライブ容量の半分」となります。例えば、3TBのHDD/SSD×2台(合計6TB)でRAIDを構成している場合、データ保存に使用できる容量は3TBです。
データを削除すると二重に複製したデータも削除されるため、冗長性を高めるには別途バックアップを取るなどの対処も必要になります。
RAID5(3台以上のドライブを使って高速性と信頼性を両方高める方法)
RAID5は、RAID0と同じようにデータを分割して書き込む方式です。パリティ(誤り訂正符号)と呼ばれるデータを生成しながら各ドライブに書き込みを行います。データを分散しながらパリティも生成するため、処理速度の高速化と冗長性の向上を両立できます。1台のドライブが故障しても、故障したドライブを交換すればデータの復旧が可能です。
パリティを生成・保存するため、RAID5で使用できる容量は「全体の合計ドライブ容量-1台分」となります。3TB×4台(合計12TB)のRAID構成なら、使用できる容量は9TBです。
RAID10(4台以上のドライブを使って高速性と信頼性を両方高める方法)
RAID0とRAID1を組み合わせた方法がRAID10です。複数台のドライブをミラーリングして同じデータを書き込みながら、ストライピングも行うことでデータ処理を高速化します。RAID1が組まれたドライブ同士で、RAID0を組むイメージです。
ドライブを4台以上使用しますが、ドライブが2台以上同時に故障してもデータを復旧できる可能性があります。
安全性と処理速度を兼ね備えたモードですが、使用できる容量は「全体のドライブ容量の半分」となり、コストが掛かりやすい点には注意が必要です。例えば、3TB×4台(合計12TB)のドライブを搭載しても、データ保存に使用できる容量は6TBしかありません。
RAID50(6台以上のドライブを使って高速性と信頼性を両方高める方法)
RAID0とRAID5を組み合わせた方法で、RAID5を高速化しながら耐障害性も高めているモードがRAID50です。使える容量は「全体のドライブ容量-2台分のドライブ容量」となり、RAIDの構成には6台以上のドライブを使用します。
このように、複数のドライブを同時に使ってRAIDを組むと、ドライブの読み書き速度や信頼性を高めることができます。しかし、RAIDの状態をコントロールする「RAIDコントローラー」が故障すると、ドライブが無事でもデータを失う危険性はあります。大切なデータは、別の場所にバックアップを取っておくと安心です。
HDD/SSDのRAID実装方法
もっとも簡単にRAIDを組む方法は、RAID機能が搭載されている外付けHDD・SSD、NASを購入する方法です。購入する際は、目的にあったRAID機能が搭載されているかをしっかり確認しましょう。自作PCの場合など、自分でRAIDを構築したい場合は、以下の手順で構築することができます。
- 同じ容量のドライブを、構成するRAIDモードに必要な台数用意する
- パソコンにドライブを取り付ける
- BIOSまたはUEFIを起動して、「SATA Mode」を「RAID Mode」に切り替える
- 設定を保存してパソコンを再起動する
- RAID BIOSを呼び出し、設定を行う
- RAIDの構築が完了したらOSをインストールする
【RAIDを構築する手順(Windowsの場合)】
OSをインストールする際に、意図するドライブが完成しているか確認しておきましょう。例えば、1TBのドライブ2台でRAID0を組んだら容量は約2TB、同じ構成でRAID1を組んだら容量は約1TBになっています。RAIDコントローラーのエラーが出ていないかの確認も必要です。また、設定画面の表示方法やRAID BIOSの設定方法は使用しているパソコンによって異なります。詳細は取扱説明書などをご確認ください。
ネットワークドライブに最適なNASのRAIDとは?
ネットワーク経由で複数人が同時にアクセスでき、大量のデータを保管しておけるNASには信頼性が求められます。NASを活用する際は、RAIDを構成してデータの冗長性を高めておきましょう。RAIDを構成したNASにデータを保管しておけば、複数のパソコンやスマートフォンからデータの閲覧・追加ができるだけでなく、データを安全に保存することが可能です。NASについては、以下の記事も併せてご確認ください。
SSDでRAIDを構成するメリットは?
RAIDというとHDDを使用するのが一般的ですが、SSDを使うこともできます。RAIDモードにもよりますが、SSDでRAIDを構成すると、HDDを使うよりもさらにデータ処理を高速化できるのがメリットです。特に、SSDでRAID0を構成すると、単一のドライブを使用するよりもデータ処理を高速化できる可能性があります。
HDDとは異なり物理的に駆動する部品がないため、耐衝撃性を高めたり、消費電力を抑えたりできる点もメリットです。
ただし、SSDはデータの読み書きを行うごとに劣化していきます。通常の使用で寿命を気にする心配は低いものの、データを複数のドライブに分散して書き込むという都合上、RAIDを構成しているSSDが同時に故障するリスクがある点には注意しましょう。
信頼性の高いRAID製品
ロジテックではRAIDケースを多数販売しております。RAIDケースはネットワーク接続をしないため、NASよりも高速にデータを処理することが可能です。動画や高精細な画像のような大容量のデータを取り扱う制作会社やテレビ局、印刷会社などのビジネスシーンはもちろん、実験データの保存や活用といった用途で、大学・研究機関でも重宝されています。
※1 現在、ロジテックより発売しているRAID対応のケースは、3.5インチHDD専用に設計されています。2.5インチSSDの取り付けやご利用にあたっての保証はありませんので、予めご了承ください。
※2 RAID機能のないケースは、2.5インチSSDも利用可能です。
● 2BayタイプUSBのみモデル
RAID機能搭載 USB3.0/2.0 2BAY 外付け3.5インチハードディスクケース
● 4Bayタイプ eSATA対応
RAID機能搭載 USB3.0 eSATA対応 4BAY 外付け3.5インチハードディスクケース
● 8Bayタイプ eSATA対応
RAID機能搭載 8BAY 外付け3.5インチハードディスクケース
製品一覧は以下URLをご参照ください。
http://www.pro.logitec.co.jp/pro/r/rBSCS/