USB Type-Cの特長は?メリットはコネクタの形状だけじゃない
現在、スマートフォンをはじめとするさまざまなデバイスで採用されているUSBのコネクタ規格が「USB Type-C(TM)」です。コネクタ部分の形状が従来のUSBとは異なる点が分かりやすい特長ですが、それ以外にはどのような点が進化しているのでしょうか。この記事ではUSB Type-C(TM)の特長やメリット、従来にはなかった機能などについてご紹介します。
※この記事は2023年8月4日に再編集しました。
目次
USBとは
USBとは「Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)」の略称で、パソコンにあらゆる周辺機器を接続する端子の統一規格として考えられました。しかし実際には性能向上のための進化の過程で、USB-AやUSB-Type-B、Micro USBのようなコネクタの形状、通信速度や仕様の違いなどが生まれ、現在はさまざまなタイプのUSBが存在しています。そのような中で、現在多くの機器で採用されているのが、最新のコネクタ規格であるUSB Type-C(TM)です。
USB Type-C(TM)の特長
さまざまな規格があるUSBですが、新たな規格として策定され普及が進んでいるUSB Type-C(TM)は、どのような特長を持っているのでしょうか。ここでは、従来のUSBコネクタとUSB Type-C(TM)の異なる点についてご紹介します。
上下左右の区別がないコネクタ形状
USB Type-C(TM)コネクタは「上下左右対称となっている端子形状」を採用しています。そのため、コネクタ接続時にはリバーシブルに挿し込むことが可能で、従来のUSB-A端子のように「上下が逆向きで挿さらない」といった問題は発生しません。
従来のAndroidスマートフォンやタブレットに採用されてきたMicro USBとほぼ同じサイズで、小型モバイル端末への搭載が容易な点もメリットです。
さまざまなインターフェースとの互換性
USB Type-C(TM)の端子にはUSB2.0対応のレーンが搭載されているため、従来のUSB規格との互換性もあります。コネクタ形状が異なる従来のUSBケーブルも、USB Type-C(TM)の変換アダプタを用意することで、さまざまな機器と接続できます。
さらに、USB Type-C(TM)は、データ転送や映像伝送といった複数の機能を備えている点も特長です。変換アダプタを使うことで、DVIやDisplayPort、HDMI、有線LANといった、USB以外のさまざまなインターフェースで使用できます。
このように、あらゆる機器との接続やデータ転送、映像転送、給電といった機能を USB Type-C(TM)ケーブル1本で賄うことができるため、用途ごとに異なるケーブルを用意する必要はありません。
ただし、「USB Type-C(TM)からUSB-Aに変換する」アダプタは使用できません。「新しいケーブルを古い機器に接続できるようにしたい」といった使い方はできないため、注意が必要です。詳細は、以下のページも併せてご確認ください。
▼「USB type-C 変換についての記事」▼
両側の端子が同じ形状でも使える
従来のUSBケーブルは、ホスト側はType-A、デバイス側はType-Bコネクタといった形で、両端でコネクタ形状が異なっていました。しかし、USB Type-C(TM)は、いずれの側にも同じType-Cのコネクタを用いることが可能です。
Type-Bには複数形状のコネクタが混在していましたが、USB Type-C(TM)に関しては1つのコネクタに統一されています。将来的には、1本のケーブルで全ての機器に接続できるようになり、複数のケーブルを持ち歩く必要がなくなると期待されています。
高速なデータ転送が可能
USB Type-C(TM)はUSB 3.x規格に対応しているため、高速なデータ転送が行えます。データの転送速度は、USB 3.2 Gen1(USB 3.0、USB 3.1 Gen1)の場合は5Gbps、USB 3.2 Gen2(USB 3.1 Gen2)では10Gbps、USB 3.2 Gen2×2では20Gbpsです。最新のUSB4規格に対応していれば、最大40Gbpsという速度でデータ転送を行えます。ただし、USB Type-C(TM)ケーブルや対応機器などの製品すべてがUSB 3.xやUSB4規格に対応しているとは限りません。
オルタネートモードに対応
「オルタネートモード」とはUSB規格以外の信号をケーブルに流せるモードのことです。USB Type-C(TM)はこのオルタネートモードに対応するため、音声や映像出力にも対応しています。例えば、パソコンやスマートフォンとモニターをUSB Type-C(TM)で接続すれば、映像を大画面で楽しむことができます。
また、オルタネートモードは、「Thunderbolt 3」という高速通信規格を利用して、最大40Gbpsで通信することも可能です。Thunderbolt 3用のケーブルには「パッシブタイプ(信号調整機能がないもの)」と「アクティブタイプ(信号調整機能があるもの)」がありますが、アクティブタイプはThunderbolt 3とUSB 2.0以外の信号を受けることができません。USB 3.x規格のケーブルとして使用したい場合は、パッシブタイプのケーブルを用意しましょう。
USB PDによる急速充電
USB Type-C(TM)はUSB PD(USB Power Delivery/パワーデリバリー)に対応しており、USB PD 3.0で最大100W、USB PD 3.1では最大240Wの電力供給を行えます。電圧についても5V、9V、15V、20Vにそれぞれ対応するため、さまざまな機器への充電が可能です。スマートフォンのような小型デバイスだけでなく、ノートパソコンやモニターといった機器も、問題なく給電して駆動できます。
また、USB Type-C(TM)を使用するメリットの1つが急速充電です。USB Type-C(TM)コネクタは、機器の情報を通信する「CC」ラインで充電器の供給能力および必要な電流や電圧の情報をやり取りしており、この通信によって急速充電を実現しています。
USB Type-C(TM)の注意点
規格の普及に伴いデメリットは減ってきたものの、使用する際はいくつか覚えておきたい点があります。USB Type-C(TM)を有効活用するための注意点は、以下のとおりです。
機器の急速充電にはUSB PD対応の充電器が必須
USB Type-C(TM)コネクタと組み合わせて使われるため勘違いされがちですが、USB PDとUSB Type-C(TM)は別の規格です。全てのUSB Type-C(TM)ケーブルが、USB PDに対応しているわけではありません。
また、USB PDを利用して急速充電を行うためには、USBケーブルだけでなく、充電器(ACアダプタ)やデバイスもUSB PDに対応している必要があります。
機器同士の規格が異なっていたり、変換アダプタを使っていたりすると、急速充電が行われないこともあるため、購入時に確認しておきましょう。
オルタネートモードも対応機器が必要
オルタネートモードではUSB3.x規格のレーンを使用してUSB以外の信号を送受信し、USB信号については余ったUSB3.xのレーンもしくはUSB2.0のレーンを使用します。このため、オルタネートモードの使用にはUSB3.x規格対応のケーブルが必要です。
例えば、映像出力非対応のType-Cポートを備えたドッキングステーションを経由して、Type-Cケーブルでモニターとパソコンを接続しても、映像は出力されません。
また、USB以外の信号の送受信に使用するレーン数は、データの種類によって変わります。秒間60フレームの4K映像のように容量が大きいデータをUSB Type-C(TM)ケーブルで出力すると、USBハブの通信速度はUSB2.0相当まで低下する点にも注意が必要です。当社製品のLHB-PMP6U4は、40Gbpsの高速データ通信が可能なため、多ポート使用時でも安定した速度で、容量の大きなデータ通信を行えます。
USB Type-C(TM)を採用したロジテックのドッキングステーション
ロジテックでは、USB Type-C(TM)やUSB4といった最新規格に対応したドッキングステーションを取り扱っています。ここからは、おすすめのドッキングステーションの概要をご紹介します。
USB 4 HDMI 2.1 ポータブル ドッキングステーション
最新規格のUSB4に対応したUSB Type-C(TM)ケーブルで、従来のUSB 3.2(Gen2)より約4倍高速な40Gbpsでのデータ通信を行えるドッキングステーションです。映像出力端子はHDMI2.1規格に対応しており、4Kで最大120Hz、8Kで最大60Hzまで出力できます。USB PD規格による、最大85Wの超高速充電を実現。有線LANポートも備えられていて、端子数が限られた製品にも最適です。
ドッキングステーション機能搭載タブレットスタンド付きType-C(TM)対応2.5インチHDD/SSD ケース
USB Type-C(TM)対応で、WindowsやmacOS、Android、iPadOSにケーブル1本で接続できるドッキングステーションです。HDMIとUSB 3.2(Gen1)のUSB-A×2、USB PD対応のUSB Type-C(TM)を搭載しています。100W給電(パソコンへは最大85W)を行えるACアダプタを接続している時は、パソコンを充電しながら周辺機器を使うことが可能です。また、AndroidやiPadを接続した本体とテレビやモニターをHDMIケーブルで接続すれば、4K映像を楽しめます。内部にHDD/SSDを内蔵すれば、外付けドライブとしてデータ保存に活用できる点も特長です。