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RAIDとは?よく使用されるモードごとの特長や使用時の注意点を徹底解説

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通常、1台のPCに内蔵や外付けなどの方法でHDDを何台接続しても、それらは別々のものとして認識されます。しかし、複数台のHDDを1台のHDDとみなして運用できる「RAID(レイド)」と呼ばれる機能があれば、何台ものHDDをまとめて管理できることをご存じでしょうか。この記事ではRAIDのモードごとの特長やRAIDモードを変更する際の注意点などを説明していきます。
※この記事は2022/5/20に再編集しました。

RAIDとは

RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)とは、2台以上のHDDを仮想的に1つのドライブであるように認識させる技術のことです。複数のHDDを組み合わせてRAIDを構築しておけば、1つのHDDが故障しても、そのHDDを交換すればすぐにデータを復旧できます。特定の範囲内であれば故障中もデータを取り扱いできるため、データの冗長性を向上させることが可能です。

また、データを複数のHDDに分散して書き込む機能を備えたRAIDモードなら、データ処理にかかる時間を短縮できます。大容量のデータを取り扱うことが多い場合は、データ転送の速度を向上できるのは大きなメリットといえるでしょう。

RAIDのモードごとの違い

冗長性やデータ転送速度の向上など、RAIDはモードごとに特長が異なります。ここでは、特に代表的なRAIDモードの種類と、モードごとの特長についてご紹介します。

RAID1

ミラーリングとも呼ばれる方法で、「2台」のHDDにまったく同じデータを書き込むのがRAID1です。どちらかのHDDが故障や破損した場合でも、もう1台のHDDからデータの読み出しを行えます。

データの安全性を高めるために用いられるモードですが、同じデータを二重にして保存することから、容量あたりのコストは倍になります。また、データを削除すると両方のHDDからデータが削除される点にも注意が必要です、重要なデータはほかの場所にもバックアップしておくなどの対処が欠かせません。

RAID1

RAID0

RAID0はストライピングとも呼ばれる方法で、2台以上のHDDにデータを分散して書き込むモードです。データの書き込みを行うと、RAIDコントローラーが自動的にデータを分割してそれぞれのドライブに書き込んでいくため、処理速度の高速化が見込めます。その一方で、冗長性は確保できず、ディスクの1台でも障害や問題が発生すると、すべてのデータを読み取れなくなります。データの安全性を高める用途には適していない点に注意が必要です。

RAID0

RAID5

データ復旧のために誤り訂正符号(パリティ)を生成しながら書き込みを行う、特に耐障害性に配慮されたモードがRAID5です。

データを分散して複数のHDDへ書き込むためRAID1より処理は高速で、パリティを生成するため安全性にも優れています。1台のHDDに問題が発生しても、HDDを交換すればデータを復旧できますが、2台以上のHDDが故障するとデータが消えてしまいます。障害発生後は、速やかに障害が発生したHDDを交換し、RAID環境を再構築することが必要です。

ただし、このモードではHDD1台分のパリティを生成する都合上、使用するには3台以上のハードディスクの接続が必須です。使用可能なデータ容量はHDD1台分少なくなり、1TBのHDD×4台でRAID5を構築した場合、使用できるドライブ容量は「約3TB」となります。また、パリティ生成のための演算が必要になるため、CPUに負荷がかかりやすい点もデメリットです。

RAID5

RAID6

RAID5の派生として、パリティを二重に生成する「RAID6」というモードもあります。RAID6では2台までHDDに問題が発生してもデータを復旧できるなど、安全性はRAID5以上に高いです。一方で、使用可能なドライブ容量はHDD2台分少なくなり、最低4台以上のHDDがないと構築できません。また、RAID5より書き込み速度が遅くなる点にも注意が必要です。

RAID10

RAID10とは「RAID1」と「RAID0」の特長を組み合わせたRAID構成です。複数台のHDDをミラーリングすることで同一データを書き込み、さらにストライピングも行って書き込むデータを分散化します。数あるRAIDのモードの中でも、特に高速化と安全性を両立できる方法です。

ただし、RAID10を取り入れるには4台以上のHDDが必要で、ミラーリングとストライピングを同時に行うため、使用可能なドライブ容量は接続しているHDDの2分の1になってしまいます。たとえば1TBのHDD×4台でRAID10を構成する場合、使用可能なHDD容量は合計4TBの半分で約2TBとなります。万が一のデータ破損などに備えた冗長性は確保できますが、HDDの利用効率が悪くコストがかかる点には注意が必要です。

RAID10

RAIDモードを運用する際の注意点

冗長性を確保してデータの安全性を高めたり、読み書きを高速にしたりとメリットの多いRAIDですが、注意点もいくつかあります。実際に運用する際は、事前に注意点を把握しておくことが大切です。

故障のリスクが高まる

複数台のHDDを使用して環境を構築するというRAIDの特性上、物理的な故障のリスクやデータを読み書きする際のエラー発生率は使用台数分高くなります。冗長性がまったくないRIAD0を構築する場合は注意が必要です。また、RAID1やRAID5といった冗長性を確保できるモードでも、同時に複数のHDDが故障した場合はデータにアクセスできなくなります。特に、RAIDでは近い時期に作られたHDDを同じ環境で使用するため、HDDの故障時期が重なるケースも多いです。RAIDを構築すれば絶対に安全というわけではありません。

すべてのトラブルに対応できるわけではない

RAIDはあくまでもディスクの冗長性の確保が目的の機能です。物理的なHDDの故障には有効ですが、ウイルス感染によるデータの破損や操作ミスによる誤消去、ソフトウェアのトラブルなどには対応できません。

また、ミラーリングという名前から勘違いされがちですが、RAIDはデータをバックアップする機能ではない点にも注意が必要です。RAID1を例にすると、2台以上のHDDに同じデータを書き込んだり、データの削除を行ったりする際は、2台でほぼ同時に処理が行われます。一度削除したデータは復旧できないので、重要なデータは必ずバックアップを取っておきましょう。

RAIDのリビルドを行う場合の注意点

RAIDを構成しているHDDが故障した際は、故障したHDDを交換してRAIDの再構成(リビルド)を行えばデータの復旧が可能です。しかし、リビルド中にほかのディスクが故障すると再構成は失敗します。ディスクが劣化していたり手順を間違えたりすると、再構成が終わらずにHDDに長時間負荷がかかり続け、正常に動作していたディスクまで破損する恐れも捨てきれません。

リビルドを行う際は、必ずほかの場所にデータをバックアップしておくことが重要です。また、RAIDを稼働させたままディスクを交換する「ホットスペア」はできる限り避け、システムを停止してから作業を行ってください。万が一異常のないHDDを取り外してしまった場合も、機器の故障やデータ消失につながる可能性があります。

RAIDモードを変更したい場合

RAIDの使用中にRAIDモードの変更ができる製品は多いですが、RAID環境を変更する方法は各製品で異なります。事前に製品の取扱説明書などで確認しておくと良いでしょう。パソコン内蔵型のHDDを複数台接続してRAID環境を構築している場合、RAIDモードを変更するにはUEFIやBIOSで設定を変更しなければならないため、ある程度の知識が必要です。

また、RAIDモードを変更する際はHDDのフォーマットを行う必要があり、各HDDの内部データはすべて消えてしまいます。そのため、RAIDモードを変更する場合には、事前に保存データのバックアップを取っておくなどの準備が必要です。

おわりに RAIDモードは用途に合わせて選択しよう

読み書きが高速になったり、データ保存の安全性を高めたりなど、RAIDは構築するモードによって特長が大きく異なります。各RAIDモードの特長を把握し、自身がどのようにデータを保存・運用したいのか、どのような環境を構築したいのかを考えながら、HDDをより上手に活用できるように心がけましょう。

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